岩田研の出張リポート
Vol.004
博多出張記(4/24-26,2014)
福岡は何年かぶりでした。第87回日本内分泌学会学術総会に参加するためでした。福岡はすっかり初夏の気候で、花粉もほとんど飛んでいません。
毎回、博多には山陽新幹線を利用することにしています。東海道新幹線よりも車窓から見える景色が私の好みに合っているのかもしれません。
新関門トンネル(新下関駅から小倉駅間にある海底トンネル)で関門海峡を横断すると景色は一変し、間もなく博多です。東京への出張では、
佐和山城址を見て関ヶ原の戦いを思い出しますが、博多への出張では、姫路城を見て秀吉と官兵衛の中国攻めを思い出します。
黒田官兵衛は福岡藩の藩祖とも呼ばれ、多くのゆかりの地が福岡県には残されており、私にとって好きな街の一つです。
学術総会は、2014年4月24日-26日の3日間、福岡国際会議場ならびに隣接する福岡サンパレスにおいて開催されました。会長の高柳涼一先生
(九州大学大学院医学研究院 病態制御内科学 教授)の講演から簡単に抜粋させて頂きます。『内分泌学は、古典的な内分泌(Endocrine)としてのホルモン
研究からスタートします。その後、ParacrineとAutocrine機構が注目され、最近では臓器間ネットワークに果たす役割が解明され、その重要性が格段と増してきています。
即ち、内分泌代謝学とは、生理活性物質、その受容体、シグナル伝達と反応、それらを統合する臓器相関、さらには神経・免疫とのクロストークといった
生体の恒常性維持機構の根幹をなすシステム学と捉え直す必要があります。今後、研究の深化と同時に、多くの分野の研究者との交流が図られ、
内分泌代謝学の知識が様々な領域へさらに幅広く応用され、多くの疾患の克服に向けた社会的にも重要な役割を担う学会となることが期待されています』。
構造生物学は、これまで内分泌学とは異分野として、あまり深い交流はありませんでしたが、難治疾患を治療するためにはお互いの技術や知識の交流が必要になること、
それが今まさに学会レベルで要求されていることが理解できました。
学術総会では、午前中にシンポジウムの座長と発表、午後からは特別講演を行いました。内分泌学会学術総会への参加は、今回が初めてでしたので、
どのような内容で話しをすれば理解してもらえるのか、他のシンポジウムの発表や質疑応答で理解するように努めました。私の学生の頃とは違い発表スライド
を写真屋さんに作ってもらう必要がないので、発表直前まで自分のスライドを何度でも修正できるのはとても便利です。シンポジウムでは、私以外にも岩田研究室から
島村さんも発表しました。GPCRの構造生物学は関心のある方も多く、沢山の質問がありシンポジウムは大いに盛り上がりました。特別講演は、槇原敬之もコンサートに
使うくらい大きな大ホール(二千人以上収容)で行われました。会場に来られた先生方の顔が遠くて見えないので、反応をみながら話しをすることができませんでしたが、
発表後、座長の寒川賢治先生(国立循環器病センター研究所)、中尾一和先生(京都大学)と内分泌学会にGPCRの構造生物学をどのように応用すべきかについて討論することができました。
その晩は、児島将康先生(久留米大学)、白石充典先生(九州大学)、研究室の椎村君、浅田さんと私の五人で福岡のB級グルメを楽しもうということで、 焼きとりの八兵衛で親睦会を開きました。福岡でも人気のお店らしく、タクシーの運転手の方もすぐにわかりました。B級グルメとはほど遠くとても上品な味の焼き鳥でした。 九州地方では焼き鳥屋に豚バラが必ずあるそうです。その他、九州地方では豚の腸をダルムと呼ぶのが一般的なようです。私が生まれ育った金沢ではシロと呼んでいます。 最後は福岡らしく長浜ラーメンで締めました。福岡はこのあと博多どんたくで多くの観光客が訪れるとのことです。
(2014年5月 小林 拓也)