岩田研の出張リポート

Vol.009

The 1st SACLA Workshop on Femtosecond Crystallography (3/26-27,2015)

  兵庫県佐用郡佐用町で行われたThe 1st SACLA Workshop on Femtosecond Crystallographyに参加してきました(http://xfel.riken.jp/symposium/20150115.html)。
SACLA (SPring-8 Angstrom Compact Free Electron Laser)とは、SPring-8大型放射光施設に2012年に併設されたX線自由電子レーザーという新しいX線源を利用した施設です。 SACLAのX線自由電子レーザーを用いることで微小結晶や溶液状態で蛋白質の立体構造を解析することが可能となり、これまで解析が困難だった蛋白質の立体構造の決定が可能となることから 蛋白質X線結晶学の大きな発展が期待される最先端技術です。ワークショップは3月26日、27日の2日間にわたって行われ、アメリカやヨーロッパのX線自由電子レーザーの開発に携わる研究者 の方々との活発な意見交換が行われました。
  今回のワークショップでは、X線自由電子レーザーを用いた構造解析を行うために必要な結晶サンプルの取扱技術や回折データの取得方法、構造解析の手法等、 新しい技術に関する発表を聞くことができました。また、他大学や海外の参加者の方々とも有意義なディスカッションを行うことができました。特にLCP (Lipidic Cubic Phase) 結晶化法に関するVadim Cherezov博士のアドバイスは大変参考になりました。
  26日の夜にはポスターセッションと懇親会が行われました。海外の研究者の方々が多数参加していることから、日本酒、和菓子や播磨名物の牡蠣の佃煮なども振る舞われ、 会場は大いに盛り上がっていました。私も日頃ゆっくり話す機会のない岩田コンソーシアムのメンバーの方々と話したり、海外の研究者の方々に日本酒についての話で盛り上がったりと 楽しい時間を過ごさせて頂きました。
ワークショップ終了後にはSACLA実験施設内の見学ツアーも行われました。LCP結晶にX線自由電子レーザーを照射するためのインジェクターなど、海外のX線自由電子レーザー施設の開発者 の方々もSACLAの設備を熱心に見学されていました。

  今後、SACLAを用いてハイスループットにヒト膜蛋白質の構造解析を行うことが可能になれば、新薬の誕生までにかかる時間が飛躍的に短くなることが期待できます。 私達も日々ヒト膜蛋白質のX線結晶構造解析に取り組んでいるのですが、今回のワークショップで、SACLAの話だけでなく先行している海外のX線自由電子レーザー施設のお話などを聞くことができ、 たくさんの刺激を受けました。先行する海外の研究者の方々も試行錯誤を繰り返してやっと成功したのだと聞くと、私も京都に戻ってたくさん実験しなければ!と気持ちを新たにして京都に帰りました。

   (2015年4月 木村(寺角) 香菜子)    

    

    





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