岩田研の出張リポート

Vol.005

スタンフォード大学Kobilka研究室(3/8-20,2014)

 私は2014年3月8日から20日までの間、スタンフォード大学医学部のBrian K. Kobilka研究室に短期留学しました。

 Kobilka研究室はスタンフォード大学医学部内のベックマンセンターにあります。スタンフォード大学はサンフランシスコから電車で一時間ほど南下した Palo Altoに隣接するスタンフォード市にある私立大学で、全米屈指の名門校として知られています。スタンフォード大学は広大なキャンパスを有し、 Stanford 周りには背の高い杉やヤシの木が生い茂っています。医学部周辺に関しては建設ラッシュであり、新築の幹細胞の研究所や、特定の診療科に特化した附属病院 の建設が行われていました。また、この近郊はシリコンバレーとして有名であり、GoogleやYahoo! 、Apple 、ヒューレットパッカード、Adobeといったハイテク企業や、 多くのバイオテックが創業された地域です。世界中で汎用できる技術の開発という点ではKobilka先生の発見にも共通しており、温暖な気候と澄み切った青空は イマジネーションを掻き立てるには優れた環境なのかもしれないと感じました。

 Kobilka研究室に関してですが、スペースは決して広くはなく、研究室も総勢10人程度と、最小限の人数で運営されている研究室です。Kobilka研究室は多くの 手法を使って研究をしていますが、それら多くは共同研究として行っているとのことでした。使用している機材やベンチは年季が入っているものも多く、 これまでの積み重ねの大きさを垣間みることができました。
 私の滞在中に、現在の進捗状況についてラボミーティングの時間にセミナーをする機会を与えて頂きました。学会や講演会で昨年来日されていたため、Kobilka先生に 研究内容を紹介するのはこの一年間で4度目になりましたが、Stanford今回もKobilka先生に有益な助言をして頂き、研究室の学生や研究員からも様々なアドバイスや提案を頂きました。 Kobilka研究室が薬理学や生化学を基盤とした構造解析の研究を行っていることから、結晶化に用いている受容体の機能や評価の仕方に関する質問が多く、さらなる検討の必要性 を再認識しました。

 個人的に良かった点は、最先端の研究がどのような日常を通じて生み出されているのか自分の目で確かめることができたことと、世界のトップサイエンティスト から「大きなチャンスだから頑張れ」と激励を受けたことです。短い期間でしたが、今回得た経験を今後の人生に活かせるよう精進したいと思います。

 最後になりましたが、助成金を頂いた第一三共生命科学研究振興財団、Kobilka研究室ならびに京都大学岩田研究室、成宮研究室の方々に深く御礼申し上げます。

   (2014年5月 豊田 洋輔)  

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